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1999年度総会報告


1999年度 中国文芸研究会総会議案
  (於 1999.4.25 白雲荘)

1998年度活動報告

*98年度の本研究会の活動は、『野草』『会報』の発行を始め、「例会」「夏期合宿」「 野草基金特別事業」などにわたって、全般的には従来の水準を維持してきたと言える。
*会員数も270名(99.4.1現在)と安定的な増加傾向にあり、とりわけ若手層の加入が目 立つ点が最近の特徴となっている。ただし、こうした若手層の力を研究会の活力につなげ ていく点では課題を残した。
*運営面では、幾つかの新たな試みも生まれたが、各種活動の有機的連係を図る点で は 弱点を克服しきれなかった。だが、後半期には、事務局の役割(運営や体制のあり方など )をめぐって忌憚のない議論が交された。これを今後の活動・体制を考える上で生かして ゆき、研究会の活性化につなげていかねばならないだろう。
*以下、各事業項目に従って活動状況を紹介する。

(1)『野草』刊行について

*第62号(編集担当:今泉秀人)、第63号(同:宇野木洋)は予定期日に出版することが でき、第64号(同:岡田英樹)も編集作業が進んでいる。激務であり経験が重要なファク ターとなる印刷担当者の変更という事態が生じたが、にもかかわらず、印刷担当者(平坂 仁志)を始めとする関係者の努力により順調に刊行できたことを確認しておきたい。
*内容面では、幾篇かの力作を掲載することができたといえるだろう。だが、「特集」の あり方と「原稿審査(査読)」のシステム化については、検討を要する課題を残している 。
*その背景には、会員からの積極的投稿の減少傾向や、原稿提出締切が厳守されていない ことなどがあり、それが編集作業の困難と遅れの一因ともなっている。今後、締切の厳守 を徹底し、「原稿審査」の機能とあり方を検討すること、長期的な編集計画を策定するこ と、そして何よりも会員の地道な研究活動の場として運営していくことが課題である。な お、フロッピィ入稿は、ほぼ完璧に定着した。

(2)『会報』発行について

*今泉秀人・平坂仁志・和田知久・好並晶(11月号から)の編集担当者の努力によっ  て、第199号(5月)〜第210号(4月)まで順調に発行した。なお、第200号は、資料や 会員アンケートを軸に据えた記念号(200〜202号合併号/7月)とした。
*しかし、投稿を増やし掲載論稿の内容・レベルの多様化を図り、「交流」欄に数多くの 情報収集を掲載することは、近年来の課題として今後も引き継がなければならない。
*一方、「書評委員会」の活動の一端が『会報』紙面に反映され、「例会」記録が定期的 に掲載されたことなどは、活性化へつながる第一歩と言えよう。「書評委員会」や「例会 」と『会報』の連係を強めると同時に、誰でも気楽に投稿できる、機動性のある研究情報 誌としての『会報』のあり方を更に考えていくことが課題となっている。

(3)「例会」開催について

*年間10回の開催を確保し、毎回コンスタントな参加者を得て、安定して開催している。 若手層の参加・報告が増加し、発表内容も基本的に高い水準となりつつある。
*『野草』の「特集」関連の報告や「書評委員会」そのものが例会に意識的に組み込まれ た点などは、「例会」の新たな展望を示したと言えよう。
*ただし、発言者が少数に偏る傾向も存在しており、今後、より多くの参加者からの積極 的な発言が期待されている。

(4)「夏期合宿」について

*今年度は、東京の「30年代文学研究会」との合同合宿として、8月1〜3日の3日間にわた り長野県松本市浅間温泉「ホテル井筒」において開催された。「30年代文学研究会」発足 30周年記念ということもあり、全体の参加者は約50人だったが、関西からの参加者は15名 と、例年に比べると若干少なかった。
*若手・中堅を中心計9名に及ぶ報告(書評含む)、若手層を中心とした東西の新たな交 流と、静かで美しい環境とによって参加者にとっては充実した内容となった。
*しかしながら、準備段階も含めて、合同合宿と銘打ちながら、その実質化が不十分だっ た点は反省し、今後の教訓としなければならない。

(5)「野草基金特別事業」関係について

*『中国20世紀文学研究ガイド(仮称)』作成へ向けた作業に取り組むことなどを課題と していたが、大きな進展には至らなかった。
*本研究会にふさわしい企画案を引き続き検討していく必要がある。

(6)「野草ネットワーク」について

*事務局の連絡、『野草』『会報』の編集などにとって、コンピュータネットワークは不 可欠のものとなっている。今後、フェイス・トゥ・フェイスの場とネットワークの、双方 の連係が重要である。
*本研究会「ホームページ」(http://aonoken.osaka-gaidai.ac.jp/~aono2/bungei/bungei.shtml) は、担当者の努力により、徐々に充実したものになりつつある。また、『会報』200期記念号に会員のEメールアドレスも掲載し、「野草メーリングリスト(ML)」モドキも立ち上がりつつある。今後の有効な活用のあり方が問われていよう。

1999年度活動方針

*99年度は本研究会が発足して30周年にあたり、2000年には『野草』刊行30周年を迎える ことになる。『野草』『会報』の発行、「例会」「夏期合宿」の開催などにおいて、研究 会の全般的活動の水準を引き続き維持し向上させることが課題となっている。
*そのためには、事務局における意思疎通を図り、責任をより明確にした体制を検討し、 各種活動がスムーズに連係し合える円滑な運営を図ることが必要である。その際には、若 手層の主体的参加と具体的な役割分担を期待する。

1.各種事業について

(1)『野草』刊行

*長期的な発行計画を、早期より明示して編集作業を進める必要がある。「特集」を軸に した展開も進めるが、それだけでなく、会員の日常的な研究発表の場として常時機能する ようにしなければならない。なお、締切厳守の徹底を図ることは、全ての前提条件である 。
*そのためにも、「例会」との連係をよりいっそう重視し、「例会報告→『野草』論文掲 載→例会における合評」というサイクルの確立を追求する。
*「原稿審査(査読)」の方法については、必要に応じて編集委員会を開催するなどして 、可能な限りの客観性と公平性を保持できるようにつとめる。なお、査読者名は、原則と して公表しない。
*執筆者は「合評」の場に出席することを期待したい。また「例会」に参加できない会員 のためにも、「合評」の経過を『野草』誌面に反映していくことを引き続き重視する。 *当面の発行計画は以下の通りである。
 ★第64号──1999年3月末締切、99年8月1日刊行予定。編集担当:岡田英樹
 ★第65号――1999年9月末締切、2000年2月1日刊行予定。編集担当:藤野真子(副担当:松浦恆雄)
 ★第66号──2000年3月末締切、2000年8月1日刊行予定。編集担当:青野繁治

(2)『会報』発行

*和田知久・好並晶・今泉秀人・藤野真子・平坂仁志・梁有紀の編集担当体制によって発 行する。
*内容の充実・活性化をいっそう図っていくことが課題である。「書評の会」(後述)と の連係をより強化するために、松浦恒雄が投稿依頼や企画のコーディネーターとして引き 続き加わる。「特約寄稿者」システムを起動する工夫と「交流」欄を充実させる手立ても 不可欠である。
*「書評の会」の活動などを受けて、「論文時評」「書評」「舞台・映画評」「個人蔵書 紹介」といった『会報』企画を工夫する。また、若手層の執筆による「例会」記録の掲載 も、内容の多様化を図りながら引き続き実現していく。
*具体的な内容は以下の通りとする。
 ★担当体制(予定)――4・8・12月号(和田知久)/5・9月号(好並晶)/6・10・2月号(今泉秀人)/7月号(平坂仁志)/11月号(藤野真子+平坂仁志)/1月号(梁有紀+好並晶)/3月号(藤野真子)
 ★原稿締切――発行前月の月末
 ★原稿送付先―和田知久/今泉秀人/平坂仁志
         ★原稿は、原則としてフロッピィ入稿にプリントアウトを添付(外字部分を明記)する こととし、返却は行なわない。ただし、原稿・写真等の返却を希望される場合は、その旨 申し出て、返信用封筒(切手添付)を同封することとする。なお、Eメールによる入稿も 受け付けるが、その際も別便でプリントアウトを郵送すること。その他、詳細はフロッピ ィ入稿に準じる。

(3)「例会」開催

*「例会」の開催は、例年通り、年10回とする。各月最終日曜=午後1:30開会。ただし7 ・8月を除く(「夏期合宿」を例会に充当)。また、12月は忘年会を兼ねるため、最終日曜 開催とは限らない。
*講演(会員外・他領域・外国人研究者などを含む)・書評を年間各1回程度、適宜行な う。『野草』合評は、討論内容を合評報告として『野草』誌上に掲載する。『野草』の「 特集」テーマに関する報告は、必要に応じて数回組み込むこととする。従って、年間10回 程度が個人会員の自由な研究発表の場となる。準備の都合上、研究発表希望者は早目に申 し込むことをお願いしたい。コメンテイターについては臨機応変に考える。
*具体的スケジュールなどは以下の通りとする。
 ★「例会」カレンダー(前半期までの報告予定者。なお、単純計算で通年14回の発表の機会があるが、随時、「特集」関連報告、講演・書評などが入る)
  4月 総 会    ・書評の会
  5月 ・森岡優紀  ・三須祐介
  6月 ・平坂仁志  ・斎藤敏康
  7-8月 (「夏期(合同)合宿」を7・8月例会にあてる)
  9月 『野草』64号合評
  10月 ・      ・
  11月 ・      ・
  12月 忘年会    ・講演・書評など
  1月 ・      ・
  2月 ・      ・
  3月 『野草』65号合評
 ★会場は、偶数月は白雲荘(京都会場=京都市上京区寺町上立売上ル2筋目西入ル Tel075-231-1320)とし、奇数月は大阪経済大学(大阪会場=大阪市東淀川区大隅2-2-8)とする。
 ★発表希望者は、「例会」担当:北岡正子・木村知実まで申し込むこと。

(4)「夏期合宿」開催

*集中的な研究交流の場として、今年度も「夏期合宿」を実施する。テーマ・報告者・場 所などについては、合宿担当:斎藤敏康・上田なおみを中心に、早急に具体化を図る。
*現在までに決定している「夏期合宿」スケジュールは以下の通り。
 ★日時:8月28〜30日
 ★場所:鳥取県東郷温泉(宿泊先は未定)
 ★内容(案):未定(個人発表については希望者募集中)

(5)「書評の会」の役割

*従来の「書評委員会」の役割は、内外の論文・書籍などの批評を定期的に積み重ねるこ とを通じて、その成果を『会報』の編集内容の企画につなげていき、更に『会報』を「例 会」にリンケージさせる中で、各種研究活動の活性化を図っていくことにあった。今年度 は、名称を「書評の会」と変更し、引き続き松浦恒雄を責任者として企画・運営を行なう 。
*「書評の会」の内容そのものの『会報』への反映も工夫していく。
*そのためにもより広範な参加を呼びかけ、「フランクな研究の広場」的な場として位置 づけていく。若手層を始め、多数の会員の出席と活発な発言を期待したい。
*原則として、偶数月の最終日曜(「例会」当日)11:00より、同一会場にて開催する。 なお、場合によっては「例会」で行なうこともある。

(6)「特別事業」計画

*阪口直樹の担当とし、短期及び長期的計画を作成しつつ、その実施に入る。研究会の事 業として、現在のところ、以下のものを予定・検討している。
  ・『中国20世紀文学研究ガイド』(仮称)作成
  ・その他
*なお、独立会計扱いとなっている「野草基金」をより有効に活用するためには、如何な る形態があり得るのか、引き続き検討を深める。

(7)「野草ネットワーク」プロジェクト

*コンピュータネットワークを利用した『会報』『野草』の編集の効率化は定着した。コ ンピュータネットワークは、単に事務の効率化に留まらず、遠隔地との交流や種々の情報 提供・発信手段としても、大きな可能性を持っている。それを全ての会員のものとするた めに、インターネットの普及なども視野に入れつつ、今年度も引き続き実践的に検討を深 める。担当は青野繁治とする。
*その第1歩として、『野草』掲載論文の検索を始め、本研究会に関する様々な情報を発 信している研究会「ホームページ」(http://aonoken.osaka-gaidai.ac.jp/~aono2/bungei/bungei.shtml)を、いっそう豊かな内容に充実させていく。また、本格的な「野草メーリングリスト(ML)」立ち上げに向けた検討を深める。

2.運営体制について

*研究会の運営は、事務局、『野草』編集委員会、「書評の会」及び運営委員会によって 行なう。若手層の参加を推進して、再編・強化を図る。

(1)事務局

*事務局は、総会決定に基づき、『会報』編集・「例会」開催・『野草』印刷などの日常 的な実務を担当する。事務局担当幹事を中心とした責任体制をより明確にしていく。今年 度の幹事は、宇野木洋・松浦恒雄・阪口直樹の3人で担う。
*ほかに、北岡正子・木村知実(「例会」担当)、絹川浩敏(財政・組織担当)、平坂仁 志(『野草』印刷担当)、和田知久・好並晶・今泉秀人・藤野真子・(平坂仁志)・梁有 紀(『会報』編集担当)、斎藤敏康・上田なおみ(「夏期合宿」担当)、青野繁治(「野 草ネットワーク」担当)によって事務局を構成する。

(2)『野草』編集委員会

*『野草』編集委員会は、『野草』の編集・刊行全体に責任を持ち、また「原稿審査(査 読)」のあり方などを始め、中長期的な課題について検討を行なう。99年度は、太田進・ 北岡正子・是永駿・阪口直樹・斎藤敏康・宇野木洋・松浦恆雄・絹川浩敏・今泉秀人と今 年度の編集担当である岡田英樹・藤野真子・青野繁治によって構成する。
*『野草』編集委員会は、必要があれば参加者を拡大して開催することができる。

(3)運営委員会と会計監査

*運営委員会は、事務局で処理が困難な問題が生じたり、長期的大局的観点が必要とされ る場合に、運営委員長の責任で開催され、問題の処理にあたる。その構成は、太田進(運 営委員長)・筧文生・是永駿・岡田英樹・谷行博及び事務局構成メンバーとする。
*財政の健全な執行を図るべく、会計監査:松村昂を置く。
          (以上、敬称略)


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