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2004年度総会報告


 2004年度 中国文芸研究会総会議案

(於2004.4.29 白雲荘)

●「中国文芸研究会2004年度総会」開催報告●

 4月25日、4月例会の場で、「2004年度総会」が開催された。出席者は21名。2003年度事務局長の青野繁治が、3月上旬より中国での在外研究に従事していることから、「総会議案」の報告・提案は、事務局長代行の宇野木洋(2004年度事務局長)によって行なわれた。


報告の後、多くの出席者から積極的な発言が相次ぎ、研究水準を高度化していく必要性や、「例会」担当者・「夏期合宿」担当者と「会報」編集担当者・「野草」編集担当者の間の連係を強化することの重要性などについて、活発な意見交換も行なわれた。また、事務局に加わって実務を担うことを、新たに申し出てくれた若手会員も存在した。以下に掲載する「総会議案」には、こうした内容も反映されていることを付け加えておく。


 なお、この間の議論を受けて、今年度においては、従来とは異なる活動計画が幾つか提起されているので、是非「総会議案」に目を通していただくようお願いしたい。主な変更点は、@2月例会を実施しない、Aこれに伴い、「会報」2月号はメールマガジンのみの発行とする(紙媒体の2月号は、3月末に3月号と合併して発行する)、B「夏期合宿」は台湾で実施する、等々である。


 2003年度決算報告・2004年度予算案についても、「事務局メーリングリスト」などを用いて最終確認することを条件に、総会で了承されたことを付記しておく(別紙「会計報告」参照)。以下、「総会議案」を掲載する。  

          

(文責・宇野木 洋)

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2004年度/中国文芸研究会総会議案

2004年4月25日
【人名敬称略】

T.2003年度活動報告

*会員数は293名(2004.3月末現在)と漸増傾向にある。新規加入は大学院生を中心とする若手層であり、その一部は例会や合宿にも参加している。研究会活動における今後の活躍が期待されるが、定着という面ではまだ弱さが残る。また30〜40歳代の例会参加が減少傾向にあり、20〜30歳代の若手の積極的活動に負う部分が大きくなっている。


*運営面では、事務局の役割分担を明確にして、順調に研究会活動が展開されたと考えられるが、今後、更に事務局の役割(分担体制と全体の調整など)を実践的に工夫していくことを通じて、実務や運営を直接的に担う会員を増やし、研究会の活性化につなげていく必要がある。


*以下、各事業項目に従って活動状況を報告する。


(1)『野草』刊行について

*第72号 (2003年8月1日刊行、編集担当:三須祐介、版下作成:平坂仁志)および第73号(2004年2月1日刊行、編集担当:西村正男、版下作成:平坂仁志)を予定通り刊行することができた。内容的には、高い水準の論文を幾編も掲載できたが、合評会で批判が提起された論文も存在した点には留意したい。


*関西在住会員に限らず、例会・合宿で報告・討論の後に『野草』に執筆するという基本方向は、この間、ほぼ定着してきている。ただし、報告とは別内容の論文を投稿するなど、この方向性の趣旨を活かしきれていない傾向もないわけではなかった。


*「『野草』編集の手引き」によって、編集作業をマニュアル化したことで、編集事務を効率化できたと考えられる。なお表紙の誤植などを改善するために、「手引き」を若干改訂した。


(2)『会報』発行について

*和田知久・好並晶・藤野真子・永井英美・井上薫・上原かおりの6名に、新たに佐原陽子・三須祐介を加えた新たな編集担当体制によって、第258号(4月)〜第269号(3月)まで順調に発行した。遠隔地在住者による編集も、「事務局メーリングリスト(ML)」を用いた協力体制により定着した。


*送料の関係もあって決められた「12頁を限度とする」という原則は守られた。投稿を増やしつつ内容充実と多様化を図ることは、近年来の課題として今後も引き継がなければならない。「交流」は、会員の意識的努力とコンピュータネットワークの活用によって収集する形態は定着したが、情報提供者に偏りがあるなど目立った改善はなされていない。会員の自覚的な情報提供に加えて、組織的な情報収集が求められたが、実現しなかった。「例会」記録は、報告者によるレポートという形が定着した。


*誰でも気楽に投稿できる、機動性のある研究情報誌としての『会報』のあり方を、更に工夫していくことが課題となっている。


*9月号より会報のメールマガジン版を実現した。印刷用に作成した版下を平坂仁志がメールマガジン化した後、「メールマガジン専用ML」(登録者のみ)を通じて配信できるようになった。当分の間、印刷されたもの(紙媒体版)との二本立てを行なうこととする。


(3)「例会」開催について

*担当者(北岡正子)の尽力により、予定通り年間10回の「例会」を開催したが、参加者人数は月によってばらつきがあった。11月の王徳威・張小虹報告の際には、多数の参加を得た。例会参加者は、若手層が増えている反面、なかなか定着しないという問題があり、また研究会歴の長い会員やベテラン層の出席が減少している。


*研究発表は、『野草』投稿希望者によるものが半数を上まわり、「例会報告→『野草』掲載→例会での合評」というサイクルは定着した。その一方で、『野草』投稿関係以外の報告、特に充実した研究成果の報告の枠を設定しにくいという課題も残した。また、通常の研究発表の他、4月例会で弓削俊洋講演を、12月例会で好並晶講演(映画の一部分も鑑賞しながらの建国後映画史)を実現した。


(4)「夏期合宿」について

*担当者(鈴木康予)の企画により、8月27〜29日の3日間にわたって高野山において開催された。参加者はのべ26人と、例年より若干増加した。内容的には、台湾文学関係の集中的書評、『野草』投稿関連報告など、充実したものであった。


*当初は台湾合宿を検討していたが、SARS問題が深刻化するなかで、国内開催の方向に転換せざるを得なかった。


(5)「書評の会」について

*松浦恆雄(責任者)・今泉秀人・西村正男を中心に運営し、偶数月の例会開始前の開催を原則としていたが、6・10月の他、例外的に8月にも、また2月には例会の中に組み込んで開催した。従来通り、書評の他に、最近読んだ書籍・論文などの情報交換を行なった。参加者は総じて多くはなかったが、議論の成果の一部を『野草』に反映することができた。


(6)「野草基金特別事業」関係について

*2002年度「野草基金」を用いて、『今天』復刻版を再発行した(100部)。販売は内山書店に委託したが、売行きには若干の不安が残っている。『野草』73号に広告を掲載したが、「会報」などでの広告宣伝活動は充分ではなかった。


(7)「野草ネットワーク」について

*ホームページは、菅原慶乃が主に更新作業を担当した。整理工夫が図られ、見やすい画面になった。
URL=http://bluesky.osaka-gaidai.ac.jp/~bungei/bungei.shtml


*「野草掲示板」設置は見送りになった。


*『会報』のHTML化(メールマガジン)は実現した。紙媒体版との連携を、今後検討しなければならない。


*「野草ML」は会員交流の場として、「事務局ML」は運営に関わる意見交換、実務作業効率化の手段として重要な役割を果たしてきた。ただし「野草ML」はあまり活発ではない。気軽な情報・意見交換の場として、活用されることが望まれる。


U.2004年度活動方針

*運営体制を更に工夫し、研究会の全般的活動の水準維持と向上につながるように努力しなければならない。そのためにも、事務局の仕事を引き続き合理化し、明確な分担体制を確立し、各種活動が連係し合えるように円滑な運営を図ることが必要である。


*その際には、大学院生を中心とする若手層および関西在住以外の会員にも、主体的・積極的な参加と具体的な役割分担を呼びかける必要があろう。活動の工夫を続けるとともに、若手層の自主的積極的な提言と取り組みも歓迎したい。


*研究会活動の活性化には、例会報告や『野草』掲載論文などにおける研究水準の向上が不可欠である。研究会活動総体としての研究の高度化を、より意識的に追求していかねばならない。


1.各種研究活動について

(1)『野草』刊行

*会員の研究成果を公表する場として常時機能するように誌面を工夫する。「特集」を組むかどうかなどに関しては、編集者の裁量に委ねる。なお、編集作業においては、「『野草』編集の手引き」の活用と締切り厳守の徹底により、「原稿審査(査読)」、版下作成を含む全ての編集作業を円滑に進める必要がある。


*「例会報告→『野草』論文掲載→例会における合評」という流れを基本原則とするが、その主旨は水準の高い論文を掲載していく点にあることを、改めて確認しておく。編集担当者は執筆予定者との連絡を密にし、かつ例会担当者との連係も図る必要がある。


*当面の発行計画は以下の通りである。


・第74号=2004年3月末締切、2004年8月1日刊行予定。編集担当:黄英哲
・第75号=2004年9月末締切、2005年2月1日刊行予定。編集担当:永井英美
・第76号=2005年3月末締切、2005年8月1日刊行予定。編集担当:弓削俊洋


(2)『会報』発行

*紙媒体版とメールマガジン版の二本立てで発行する。ただし、「例会」開催日程との関係(次項参照)から、2月号はメールマガジン版のみの発行とし、3月末に紙媒体版の2月・3月合併号を発行する。メールマガジン化の作業は平坂仁志が担う。


*編集担当体制は、永井英美・井上薫・上原かおり・和田知久・佐原陽子・三須祐介に、新たに島由子・羽田朝子を加えた8人よって担う。将来的には「年間1人1回担当」を目指すべく、編集担当者の拡大を図っていく。送料の関係から、当面、最大12頁とする。原稿の採否は編集者の判断で行なう。


*内容の充実・活性化をいっそう図っていくことが課題である。この間、若干弱まっている「交流」欄を充実させる必要がある。事務局でも努力するが、全国の会員も「野草ML」などを活用して研究情報をお寄せいただきたい。また「書評の会」の議論を反映するように工夫すること、海外留学者との連絡を密にして「現地レポート」掲載を増やすことなどを実施したい。「例会」記録は、原則として「例会」報告者が執筆する。


*海外研究機関・研究者への贈呈および海外留学者への配送サービスのあり方については、引き続き検討する。海外発送担当は好並晶とする。


*将来のあり方を展望して、メールマガジン版の読者を拡大する必要がある。メールアドレスの登録を呼びかけたい。


*編集担当者・原稿送付先・留意事項は以下の通り。


【編集担当者】
・2004年4月号(3月末原稿締切り・4月上旬版下作成・4月末発送)=永井
5月号=井上/6月号=上原/7月号=和田/8月号=佐原/9月号=島 /10月号=三須/11月号=羽田/12月号=井上/2005年1月号=和田 /2月号(メールマガジン版のみの発行)=佐原/3月号=上原


【会報原稿送付先】
・郵送
〒562-8558 大阪府箕面市粟生間谷東8-1-1 大阪外国語大学青野研究室気付
中国文芸研究会事務局
・Eメール=


【留意事項】
・原稿は、原則としてフロッピィ入稿にプリントアウトを添付(外字部分を明記)することとし、返却は行なわない(ただし原稿・写真などの返却を希望する場合は、その旨を申し出て、切手添付の返信用封筒を同封すること)。なお、Eメール入稿も可であるが、その際も別便でプリントアウトを郵送することが望ましい。


(3)「例会」開催

*「例会」開催数は、例年の10回を9回に変更する(7・8月に加え2月を休止する)。この間、2月例会は、入試業務・短期語学研修引率業務や海外調査・資料収集などによって、出席者が極めて少ない状況が続いており、こうした判断に到った点についてご理解願いたい。開催月の最終日曜日午後 1:30より開会することを原則とする。12月は忘年会を兼ねるため、日時は別途定める。


*講演(会員外・他領域・外国人研究者などを含む)・書評を年間各1回程度、『野草』関連報告を数回組み入れる。『野草』合評会(9・3月例会)の討論内容は、次号の『野草』誌上に掲載する。論文執筆者は合評会に出席することを原則とする。


*「例会」担当は北岡正子とし、例会の企画と報告希望者の調整を行なう。調整の必要から、希望者は早めに申し込むことを望みたい。コメンテイターについては報告者の申し出によって相談する。


*会場は、偶数月は白雲荘(京都会場=京都市上京区寺町上立売上ル2筋目西入ル/Tel 075-231-1320)、奇数月は大阪経済大学(大阪会場=大阪市東淀川区大隅 2-2-8)とする。ただし、1月例会は、入試の関係で会場変更になる可能性がある。会場予約は宇野木洋(白雲荘)・谷行博(大阪経済大学)、二次会会場予約は宇野木洋が担当する。


*すでに決定している「例会」内容(【例会カレンダー】)は以下の通り。


4月例会特別講演:太田進「留学生周樹人と日本の公教育」
5月例会神谷まり子「『外地人』の上海体験――社会小説『海上繁華夢』について」/虞萍「冰心の目ざす作家像――大学時代に取りあげた青年の自殺問題をめぐって」
6月例会羽田朝子「胡適『終身大事』について」/斎藤敏康「阪口直樹著『中国現代文学の系譜』(東方書店、2004年2月)をめぐって」
夏合宿台湾で実施
9月例会『野草』第74号合評
10月例会 
11月例会 
12月例会(忘年会)特別企画(講演/書評など)
1月例会 
3月例会『野草』第75号合評



(4)「夏期合宿」開催

*「夏期合宿」は、集中的な研究・交流の場として極めて重要である。今年度は、昨年SARS流行のため実現できなかった、台湾における「夏期合宿」を実施する。台湾の研究者・作家との研究交流も含めたテーマ・内容などに関しては、黄英哲・斎藤敏康・鈴木康予を中心に具体化を進める。なお、日程は8月の最終週の3泊4日とし、早急に決定し発表する。多くの会員の参加を呼びかけたい。


(5)「書評の会」

*「書評の会」は、偶数月(京都会場)の「例会」前(午前10:30頃開始)に実施する。研究会活動への反映のさせ方、研究水準の向上のあり方などについても、引き続き工夫する。今後、テーマを定めた共同研究会的なものへの展開なども視野に入れた取り組みも検討していく。担当は松浦恆雄・今泉秀人・西村正男とする。


(6)「特別事業」計画

*研究会の事業として、宇野木洋を中心に、『図説中国20世紀文学』(白帝社)の改訂作業に取り組む。この間、改訂準備委員会(宇野木洋・松浦恆雄・青野繁治)で作業を進めてきたが遅れ気味であり、早急に編集委員会(執筆者グループ)を立ち上げる必要がある。


*斎藤敏康・黄英哲が中心になって、『劉吶鴎日記』の刊行準備に取り組む。刊行時期に関しては、追って定める。


(7)「野草ネットワーク」

*コンピュータネットワークを利用した『会報』『野草』編集作業の効率化は定着した。コンピュータネットワークは事務の効率化に留まらず、遠隔地との交流や種々の情報提供・発信手段としても、大きな可能性を持っている。それを全ての会員のものとするために、インターネット環境の変化なども視野に入れつつ、今年度も引き続き実践的に検討を深める。担当は青野繁治・菅原慶乃とする。


*『野草』掲載論文の検索を始め、本研究会に関する様々な情報を発信している「ホームページ」(http://bluesky.osaka-gaidai.ac.jp/~bungei/bungei.shtml)を、いっそう豊かな内容に充実させていく。特定の個人への負担を軽くするため、担当者を中心に「ホームページ」管理のあり方を検討していく。


「野草ML」(加入手続=事務局までメールでアドレスを知らせること。手続が完了すると担当者からそのアドレスに通知がなされる)を活用した会員間の交流にも期待したい。特に、論文・著書などを発表した際には、その情報を是非とも提供していただきたい。


*「電子掲示板」設置を検討する。サーバへの負担軽減のため、プロバイダ等が提供する無料掲示板を利用し、研究会ホームページにリンクする方向を追求する。


2.運営体制について

*研究会の運営は、事務局、『野草』編集委員会および運営委員会によって行なう。若手層の参加を推進して再編・強化を図る。


(1)事務局

*事務局は、総会決定に基づき、研究会活動の日常的な実務を担当する。事務局構成メンバーと担当は以下の通り。青野繁治(MLサーバ管理)・井上薫(会報編集)・今泉秀人(会計/書評の会)・上原かおり(会報編集)・宇野木洋(特別事業)・北岡正子(例会)・黄英哲(野草編集/夏期合宿)・斎藤敏康(夏期合宿)・佐原陽子(会報編集)・島由子(会報編集)・菅原慶乃(ホームページ管理)・鈴木康予(夏期合宿)・永井英美(野草編集/会報編集)・西村正男(書評の会)・羽田朝子(会報編集)・平坂仁志(野草印刷/会報メールマガジン化)・藤野真子(会員名簿管理)・松浦恆雄(書評の会)・三須祐介(会報編集)・弓削俊洋(野草編集)・好並晶(刊行物海外発送)・和田知久(会報編集)。


*事務局担当幹事は宇野木洋(事務局長)・青野繁治・松浦恆雄が担い、研究会活動の運営全体に関して責任を負う。


*事務局の住所その他は以下の通り。
〒562-8558 大阪府箕面市粟生間谷東8-1-1 大阪外国語大学 青野研究室気付
(0727-30-5245/bungei@bluesky.osaka-gaidai.ac.jp)


(2)『野草』編集委員会

*『野草』編集委員会は、『野草』編集と刊行全体に責任を持ち、また「原稿審査(査読)」のあり方などを始め、中長期的な課題について検討を行なう。機動性を備える必要から、今年度は、関西在住の編集担当経験者である青野繁治・宇野木洋・太田進・北岡正子・斎藤敏康・谷行博・平坂仁志・福家道信・藤野真子・松浦恆雄・好並晶・和田知久および『野草』編集担当の黄英哲・永井英美・弓削俊洋によって構成する。


*『野草』編集委員会は、必要があれば、参加者を拡大して開催することができる。


(3)運営委員会と会計監査

*運営委員会は、事務局では処理が困難な問題が生じたり、長期的・大局的な観点が必要とされる場合に、運営委員長の責任において開催され、問題の処理にあたる。その構成は、太田進(運営委員長)・岡田英樹・筧文生・是永駿・阪口直樹および事務局構成メンバーとする。


*財政の健全な執行を図るべく会計監査を置く。会計監査は橋本草子とする。

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